私の住むコンドから数分のところに、マニラの保護猫団体の管理の上、去勢・避妊された猫や、自由に居ついた猫たちが住む公園がある。
はちわれの『ハッチ』と初めてそこで会ったのは、今のコンドに越してきて半年経った頃だった。
とても『野良猫』とは思えないきれいな毛並みにびっくりしたのを覚えている。
マニラで外猫として暮らす『ハッチ』
その頃、外にたくさんいるかわいこちゃんの一匹として『白黒ちゃん』と呼んでいたハッチ。
ほかの猫に意地悪することもなく、前に出ることもなく、たまに人の足にすりすりする『優しい女の子』といった印象だった。
一度、いつも通らないお昼の時間帯に公園へ行った時に、一匹でいるハッチに会った。
私を見つけると、「ごはん欲しいぜ」と走って近づき、足にすりっとしてくれたハッチをなでなでしていると、喉を鳴らしてベンチに置いていた私のリュックに乗った。
そんなハッチを見て、『きっと白黒ちゃんはもっと甘えたい子なんだろうな。家があるといいのにな』と思ったのを覚えている。
このような適度な距離感のハッチと急接近したのは、2019年末。
朝夜毎日会っていたハッチがいない。
そんな日が3日も続き、3度公園を見に行ったところ、夜9時頃ようやくハッチに会うことができた。
『白黒ちゃん』と呼ぶと気づいてゆっくり歩いて足をすりっとしてくれたが、ごはんに手をつけない。
大好きな鶏肉を足しても、食べようともしない。
その後配偶者にも見に行ってもらったが、やはりごはんを食べなかったと聞き、翌日勇気を出して病院へ連れていくことに決めた。
翌朝、ちゃんと会えるように祈る気持ちで公園に行くと、そこにハッチがいてくれた。
ハッチと病院へ
ずっと顔見知りとはいえ、抱っこしてケージへ入れることに緊張したが、するっと入ってくれた。
『病院へ行こう』。
さすがにGrab petを待つ間に怖くなってきたようでうにゃうにゃとなく白黒ちゃん。
『大丈夫だからね』と声をかけながら、ずっと心配だった黒白ちゃんを保護できたことに安堵する気持ちと、また大病だったらどうしたらいいか、、という気持ちが混ざり合っていた。
子猫の猫白血病(FeLV) が陰転するまでの日々(前編)
この日は日曜日で、当時かかりつけだった病院はお休み。
気になっていた『Animal house』へ行った。
長身の動物看護士さんがすたすたと白黒ちゃんを診察室に連れていくと、丸眼鏡のいかにも優しそうな先生が対応してくれた。
これまでマニラの病院を受診した中で、一番丁寧で正確に感じ、涙が出てきてしまった。
診察結果は、『歯茎の炎症』。看護士さんが水で溶いてどろどろにしたウェットフードを舐めたのをみて一安心。
猫エイズ、白血病、コロナ、パルボも陰性。血液検査の数値も大きな問題は見つからず(そしてこの時に初めて男の子だと分かり、びっくり)。
栄養失調になっていたので、その日は入院することになった。
4日後、無事に退院。
先生から、1. 歯茎に薬を塗る事、2. 固いものを噛むと刺激になるので、ウェットフードをあげるようにという説明があった。
この時のことはよく覚えていない。
しかし、『白黒ちゃんを外に返したくない』と思ったんだと思う、家に連れて帰ることにした。
いきなり家の猫には会わせられないので、彼用の部屋を用意(普段は物置と化している小部屋)。
部屋に着いた白黒ちゃんは、『帰りたい!』と鳴くこともなく、私の周りをぐるぐるまわり、喉をゴロゴロ鳴らして喜んでくれていた。
そして一週間後、4-in-1ワクチンを接種。
少しずつ先住猫に会わせるようにした。
はっちの異変
はっちがうちに来て1週間ちょっと。
隔離部屋を少しずつ開放して、先住猫とも対面し、問題なく過ごしているように見えていた。
が、はっちに少しずつ異変が起こっていた。